イタリアのフィレンツェの老舗リストランテ「カソーニ」の常連客だった「カミーロ・ネグローニ」伯爵が愛飲していた食前酒です。
考案者は、同店のバーテンダー「フォスコ・スカルセリ」が伯爵のためのオリジナルカクテルとして伯爵に振る舞っていたが、どうせなら色々な方々にも飲んでほしいと本人に確認しました。
伯爵本人から許可を得た、1962年に美食家としても有名な伯爵の名をつけた「ネグローニ」が誕生しました。
元々、伯爵は「アメリカーノ」というカクテルを食前酒として飲んでおられたみたいですが、少し物足りなかったんでしょうか….
ちなみに、アメリカーノとは、カンパリ・スイートヴェルモットをソーダで割ったカクテルのことです。
ソーダで割るんじゃなくて、ソーダの代わりにジンにしてくれとリクエストしたみたいです。
アルコールがお強い伯爵には、これが大のお気に入りとなり、誕生したカクテルだと言われています。
ネグローニの良さ
花に花言葉があるように、カクテルにもカクテル言葉があるんです。
この「ネグローニ・カクテル」はといいますと。
「初恋」です。
お酒とお酒とお酒を混ぜ合わせたカクテルなので、少々アルコールが強いように感じられますが、味わいは甘苦いような仕上がりなので、いい意味での「初恋」ではなく、結果が少々残念だった「初恋」なのかもしれませんね。
人それぞれの感じ方なので、甘く感じる人ならいい意味での「初恋」ですね。
私の「初恋」は…..
恥ずかしいので、その話は酔っぱらったときにでも、ただのじゃれ事だと思って、酒のつまみにでもしてくださいね。
今の現代だとカルピスウォーターを連想する人が多そうな。
この「ネグローニ」ロックスタイルで提供しているカクテルなので、ゆっくり時間を掛けて「初恋」から「今」は、どう変化したかをお酒とともに味わって思い出しながらふと想像するときにはぴったりだと思います。
ちなみに、このカクテルを始めて作ったのは、1920年代頃とされています。
その時は、今のスタイルとは少し異なり、ビルドではなくシェイクして提供していたみたいです。
そして、最後にオレンジスライスをグラスに入れて完成。
世に出る場でに実に、40年近くも許可を得られなかったなんて、逆にこのバーテンダーさんの執念が詰まった1杯ですね。
ネグローニの味わい(フレバー)
ジンとカンパリとスイートヴェルモットを使用したカクテル。
このカンパリ、色が赤くて甘いリキュールなのかと思いきや、甘さよりかは苦みが強いなと感じられるリキュール。
私もバーテンダーになる前に、一度町の酒屋で購入したことがありまして。
その時は知識も一切なく、リキュールで色が赤いならカシスリキュールみたいに甘くて飲みやすいお酒なのかと思い購入して味見してみると、なんだこの甘苦いお酒はと感じたことを今、これを書きながら思い出しました。
そうこの「カンパリ」。
名前の由来は、今は考案者の名前を付けて売られていますが、元々は「Bitter All’uso d’Hollandia」という名前で売りだれていました。
日本語に訳しますと、「オランダ風苦味酒」です。
そりゃあ、苦いわけですね。
この意味を知って納得しました。
そんなカンパリとスイートヴェルモットとジンで作るカクテルなので、スイートヴェルモットの甘い味わいも感じる強めなカクテルです。
ただ、オレンジスライスもはいるので、香りはオレンジの爽やかな感じもするので、ついつい一口目にぐびっといってしまいそうな仕上がりのカクテル。
ぜひ、「初恋」の相手と飲む機会があれば試してみたいですね。
伯爵みたいに食事をする前の食前酒でもお酒が強い方なら食欲をもたらしてくれていいかもしれませんね。
ネグローニの美味しい作り方
用意するもの
材料
ドライジン(タンカレー) | 30ml |
スイートヴェルモット(マルティーニ社) | 30ml |
オレンジスライス(輪切りでも半月切りでもOK) |
手順
- ロックグラスに大きめの氷を入れる。
- ジンを30ml、カンパリを30ml、スイートヴェルモットを30ml入れてステアする。
- 最後にカットしたオレンジスライスをグラスに入れる。
*ビルドスタイルのカクテルで、材料もすべて同じ分量なので簡単に作れるカクテルだと思います。
これは化学の実験みたいですが、初めに氷に当たった液体の香りを一番に強く発するので、注ぐ順番はお好みで大丈夫です。
ジンを一番、強調したい人はジンから。
カンパリを一番、強調したい人はカンパリから。
スイートヴェルモットを一番、強調したい人はスイートヴェルモットから。
やや甘苦い感じが欲しい人なら、カンパリから。
甘い感じが欲しい方なら、スイートヴェルモットから。
と、注ぐ順番で、仕上がりのテイストも変わってくるので、色々試して自分の好みに合う「ネグローニ」を作ってみてくださいね。
飲み方
ロックスタイルのカクテルですので、氷が溶けだしてからの変化も、味わいながら楽しんで下さい。
ただ、溶けきってしまっては、水っぽくなるので氷があまり小さくなりすぎない幅で、変化を楽しんでください。
グラスの中に入っているオレンジスライスはそのまま飾りでもいいですし、少しオレンジの甘みや爽やかさが欲しい方は、お店ならバーテンダーさんにマドラーをお借りして、少し果肉を潰しながら混ぜると、すごく変化しますよ。
あまり、オレンジの香りを強調してほしくない方は、オレンジピールでもいいかもしれませんね。
- 1
- 2