ジンフィズ Gin Fizz

ジンフィズとは、1888年にアメリカ・ニューオリンズのインペリアル・キャビネット・サロンのヘンリー・ラモスが考案したカクテルです。

フィズ(Fizz)とは炭酸がはじける音を表現して付けられた名前です。

日本では「シュワー」と表現する方が多いかもしれませんが、欧米では「シューッ」と表現する方が多いみたいです。

ちなみに「Fizz」の動詞は(飲料などが)シューッという(鳴る)名詞だとシューッという音「a fizz」と表現します。

ジンに炭酸が入って、その炭酸の弾ける音からカクテル名を考案したなんて、なんかロマンチックですね。

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ジンフィズの良さ

バーやダイニングバー、最近では居酒屋さんでも「〇〇フィズ」と一般的に有名になってきたカクテルの一つですが、そもそも「フィズ」って何なのかご存知でしょうか?

「フィズ」とは、カクテルのスタイルの一つで、ベースのお酒・レモン果汁・シロップを炭酸で割ったカクテルのことなんです。

今回は「ジンフィズ」について色々と順をおってお話していきますね。

このカクテルは、酒好きな人ならもちろんのことながら、今では数多くの人に飲まれている歴史あるカクテルの一つです。

このカクテル、作り手によって味が様々な大変難しいカクテルなんです。

私も都内の有名店で色々な「ジンフィズ」に出会いました。

今回は、その中でも衝撃的だったお話をさせて頂きますね。

バーテンダーさんによっては特殊な作り方をする方もいらっしゃいます。

大半のバーテンダーさんは、炭酸以外の材料をシェイクして氷が入ったタンブラーに注ぎ、炭酸で割って提供しているのですが、

その特殊な作り方をしていた方は、シェイクしたシェイカーのトップを開けてそこに炭酸を流し込み氷が入ったタンブラーに注いでいました。

炭酸をシェイカーに入れるなんてスタイルを見たことがなかったので衝撃を受けました。

だって炭酸が入っているものをシェイカーに入れるなんて発想が全くなかったので。

シェイカーに入れるものは、急速に冷やしたいものしか入れてはいけない。

炭酸なんていれてシェイクするなんて、ガスがシェイカーの中で充満して振りながら爆発してしまうおそれがあると…

よくよく考えたら、シェイクしないならその危険性はないからいいのか。

いやいや、シェイクして氷も溶けているのでなるべく早く注いでしまった方が水っぽくならなくていいんじゃないかと、

私の頭の中でいろんな想像が膨らんで衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えております。

「ジン・レモン果汁・シロップ・炭酸」

と、材料はいたってシンプルなんですが、作り手によって様々なスタイルの提供が出来る「ジンフィズ」

私も自分なりの満足いく作り方を習得するのに約10年ほどかかったカクテル。

アルコール度数も10%ほどなので、ぜひ色々なバーで試して、自分好みの「ジンフィズ」を探すのも面白いと思いますよ。

ジンフィズの味わい(フレバー)

1888年にヘンリー・ラモス氏が考案したジンフィズ。

当初は、今のレシピとは違い、ジンをレモンスカッシュで割ったカクテルのことを「ジンフィズ」と呼んでいました。

これなら、なんとなく味が想像しやすいですね。

今まで「ジンフィズ」を飲まれたことがない方は、現在のレシピでも、レモン果汁とシロップを炭酸で割った自家製レモンスカッシュにジンが入っているような味わいと想像してもらえればとおもいます。

「じゃあ、いつから今のレシピになったのか教えてくださいよ!」
という方のために少しだけ。

このカクテルが考案される少し前に、カール・フォン・リンデ(ドイツの技術者)が1876年に製氷機を開発したことで、これまで貴重とされていた氷が1年通して製造できるようになりました。

ここから今では当たり前のように飲まれている「コールド・ドリンク」が主流になったとされています。

そして時はもう少し経ち、アメリカで禁酒法時代(1911年~1933年)に巻き起こったカクテルブーム。

1920年~1930年代のヨーロッパにジャズやカクテルなどのアメリカ文化が流入して起きたカクテルブーム。

そのころから、今のレシピが誕生したのではないかとおもわれます。

デートでバーなどに行った際に、「ジンフィズ」を注文してこんなエピソードを話してみるのも、お酒や歴史好きな女性との会話の盛り上がりの一つとしていいかもしれませんね。

ジンフィズの美味しい作り方

用意するもの

  • ドライジン(タンカレージン) 30ml
  • レモン・ジュース       15ml
  • ガムシロップ(カリブ社)   10ml
  • ソーダ(ウィルキンソン)   90ml

手順

  1. シェーカーにドライジン・レモンジュース・ガムシロップを入れる。
  2. バースプーンで一度ステアして、テイストを確認してからシェーカーに氷を入れる。
  3. ハードシェイクを40回ほどして、氷が入っているタンブラーに注ぐ。
  4. ソーダで満たして、軽くステアする。

*シェーカーに氷を入れる前にテイストを確認する。
この時、少し甘いかなぐらいが丁度いいです。
なぜなら、このあとにシェーカーに霜が出来るくらいハードシェイクしてほしいので。

この霜が出来るまでハードシェイクすることによって、シェーカーの中の氷も溶けていい塩梅のテイストに仕上がります。(これほんと極秘ですよ!!私が10年掛りで編み出した技法ですので)
あとは、ソーダで満たした後に、軽くステアしてレモンピールを振りかけてそのままグラスに落とせば完成です。

飲み方

氷が入っているロングタイプのカクテルなので、
出来上がりの初めのひと口目を楽しんでいただいたり、
氷が溶け始めた時の変化した味わいなど、
いろんな角度から楽しんでもらえたらなとおもいます。

ただ、氷が溶けきってしまっては本来の味からだいぶ遠ざかってしまいますので、お話に夢中になりすぎて飲み忘れることは止めてくださいね。

バーテンダーさんもきっと寂しい気持ちになってしまいますので。

ジンフィズのアレンジ

甘めなジンフィズ

一番アレンジしやすいのは、ガムシロップの量を多めにしていただいて、自分好みの甘さに調整して作ってみてください。

他にはないの?

という方は、ジンのベースを変えてみましょう。

ただここで、「オールド・トム・ジン」を使用してしまったら「トム・コリンズ」というカクテルに変わってしまいますのでご注意を。

それ以外の甘めなジンだと、
「ケンジントン・ジン」「エギュベル・ジン」「タンカレー・マラッカジン」
などがおすすめです。

ドライジンで作るよりすごく甘く感じるとおもいますよ。

アルコールが苦手な人におすすめなジンフィズ

んんー、じゃあジンの量を減らして作りますか。

「それはわかるよ!」

そんな答えが返ってくるのが、想像できますね。

だったら、昔のレシピを元に作ってみるのも面白いと思いますよ。

自家製でレモンスカッシュを作ってみましょう。

レシピが分からないという方のために簡単に出来る、参考レシピも載せておきますね。

  1. レモン1個をスライスして、タッパーにいれます。
  2. 砂糖(大さじ2)、はちみつ(大さじ2)をかけて蓋をして冷蔵庫で2~3日で果汁が出てきます。
  3. レモン果汁(大さじ2)を炭酸水を約100ml程度で割れば完成です。

*お好みで砂糖やはちみつの量を調整すれば、甘さも自分好みのレモンスカッシュの出来上がりです。

レモンスライスと砂糖・はちみつで寝かせるときに少量のジンを加えて、炭酸で割ると、お酒が苦手な方でも美味しく飲める「ジンフィズ」ができちゃいますよ。

ジンフィズに合う料理&おつまみ

ショートカクテルと比べれば、それほど強くないカクテルですので、イタリアンやフレンチのコースを食べながらでもいけちゃうカクテルです。

お肉や魚介類のパテをフランスパンに塗ってかぶりついた後にジンフィズで流し込む。

ビーフステーキや白身魚のグリル
はたまた、
ほうれん草のおひたしやサンマの塩焼き

ペペロンチーノやペスカトーレ、カルボナーラ。

なんでも合います。
ただ個人的に合わないかなと思うのは、ご飯(白米)ですね。

白米の甘さとおなかにズッシリ溜まるかんじが、炭酸で割るカクテルとは合わないのかなとおもいます。

ちなみにこれを書いているときに頭の中に出てきたのが、「お茶漬け」です。

飲んだ後の〆の一杯と連想するようなものは、お酒なしでいきたいですね。

ジンフィズの歴史(逸話)

説明文の方でも、簡単にはご説明させていただきましたが、

1888年、アメリカのニューオリンズのインペリアル・キャビネット・サロンのバーテンダー「Henry Ramos(ヘンリー・ラモス)」氏が考案しましたと書きましたが、

実は、こんな話もあるんです。

「Jerry Thomas(ジェリー・トーマス)」

ちなみに誰だかご存知の方はいらっしゃいますか?

「知らないな…」
「あっ!!」
「知ってる!!」
「知ってる!!」

とお答えの方。
素晴らしいです。

逆に何で知っているのか聞きたいくらいです。わたくし。

で、誰なの?
そうなんです。

彼こそが、
「カクテルの創始者」
ともいわれる人物なのです。

彼のことをわかった上で、
「ジンフィズ」
というカクテルの話を進めた方が面白いのではないかと、私思い、少し、彼について紹介していきたいと思います。

「ジェリー・トーマス」は、1830年、アメリカ ニューヨーク州北部のサケッツ・ハーバーで生まれました。

そんな、ジェリー・トーマスは10代後半から隣町のコネチカット州ニュー・ヘイブンのバーで働き始めます。

そして、時は少し経ち、1847年には、今この時代のカクテルブックでもよく見かける
「トム&ジェリー」
というホット・カクテルを考案しました。

が、しかし、その翌年の1848年、アメリカ西部で(カリフォルニア地方の川で砂金が見つかったのをきっかけに、アメリカ全土で広がった金鉱脈探しブーム)一攫千金を狙う開拓者たちが、アメリカ全土や欧州から、カリフォルニアへ押し寄ました。

いわゆる「ゴールドラッシュ」です。

「ジェリー・トーマス」も、後に有名なカクテルを考案した有名なバーテンダーになるとは、当時はわからず、一攫千金をもとめて、カリフォルニアに旅立ちます。

カリフォルニアに降り立った彼は、バーテンダーとして働きつつも、金鉱脈探しの開拓者として、

そしてある時は、旅芸人のショーの経営者として働いておりました。

今思うと、本当に多彩な人物だったんですね。

そんな彼も、1851年には、ニューヨークに戻り、

「バーナム・アメリカン・ミュージアム」というPT・バーナムという興行師がニューヨーク・マンハッタン南部に設立した博物館で、

実態は、「偽人魚」 「珍動物」 「小人」などを見せる見世物小屋です。

の中で、自身初のサロン・バーを開業しました。

そんな博物館も1841年~1865年の24年間、開業していたのですが、

ニューヨークの大火の犠牲となり焼失してしまい、なくなってしまいました。

「ジェリー・トーマス」は、そのあと全米各地の有名ホテルで、チーフバーテンダーとして働きました。

そんな彼の名を、永久不滅なものにしたのが、
「ブルー・ブレイザー」
というカクテルを考案したからなんです。

一見、ただのホット・ウイスキーなんですが、作る過程でのパフォーマンスが今までなかった旅芸人ならではの処方でした。

この過程は、また「ブルー・ブレイザー」の話のときでもさせて頂きますね。

数々のカクテルを考案してきた彼が、今までバーテンダーとして培ってきたノウハウを何かの形にしたいとおもい

1862年、「How To Mix Drinks or The Bon-Vivant’s Companion」を出版しました。

話は戻りますが、その出版本の第2版(1887年)で登場しているんです。

「GinFizz」
がもしかしたら、考案第一人者は、

「ジェリー・トーマス」
なのかもしれませんね。

ジンフィズの注意点

まずは、ジンフィズのカロリーからご説明させていただきます。

ジンにも、色々な種類があります。

今回ジンは、ドライジンで、
ガムシロップは、カリブ社で、
炭酸水は、ウィルキンソンを使用した際に掛かるカロリー計算をしていきますね。

ここで、もう一度レシピのおさらいです。

  • ドライジン(タンカレー) 30ml
  • フレッシュ・レモン    15ml
  • ガムシロップ(カリブ社) 10ml
  • ソーダ(ウィルキンソン) 90ml

まずは、ドライジン30mlからですね。

30mlをグラム計算しますと、ジンの成分は大麦、ライ麦、じゃがいもなどの穀物・イモ類を使用した蒸留酒なので、

30ml=約28gです。

約28gのカロリーは約80kcalです。

続きまして、フレッシュ・レモン。

大きさも様々ですが、今回は皆さんがスーパーでもよく見かける中型サイズで、重さは約1個85g程度のもの基準として考えていきます。

1個で果汁は約30ml カロリーは約45kcal

今回は約半分使用いたしますので、フレッシュ・レモン15mlのカロリーは約22.5kcalです。

次はガムシロップ(カリブ社)

今回はカリブ社のカリブ・カナデュー100%さとうきび天然糖液を使用した際のカロリー計算でおこないます。

じつは、砂糖と甘い糖の種類は色々ありまして、それによって成分も異なってきます。

少しだけ、違いをまとめてみましたので参考にしてください。

その前に、糖液のご説明をします。

糖液とは砂糖の仲間で、精製糖(混ざりものを除いた砂糖で、ショ糖が主成分です。)を液状にしたものです。

溶かす手間が省けるので、ガムシロップや清涼飲料水・冷菓・缶詰・アルコール飲料・ソースなどの調味料など、実はみなさんがよく口に入れるものでも多く使われています。

そんな糖液ですが、「ショ糖型液糖」「転化型液糖」に分けられています。

「ショ糖型液糖」は、ショ糖を液状にしたもので、上品な甘さが特徴です。

甘さの例で表すと、グラニュー糖のようなかんじです。

カロリーは100gあたり約271kcal

「転化型液糖」は、ショ糖(砂糖の主成分で、ブドウ糖と果糖が結合したもので、二糖類)を主成分とした液糖に、転化糖(ショ糖を加水分解して、ブドウ糖・果糖を混ぜた甘味料)を加えた液糖で、濃厚な甘さが特徴です。

濃厚な甘さを例で表すと、上白糖のようなかんじです。

カロリーは100gあたり約307kcal

糖液の主原料は、サトウキビやてん菜です。
カリブ社のさとうきび糖液は、添加物は一切使用していない糖液シロップです。

で、気になるカロリーはと言いますと、カリブ社の糖液シロップは、添加物も一切使用していない「ショ糖型液糖」なので、10mlですと、約21g(大さじ1)なので、約57kcalとなります。

最後にソーダ水(ウィルキンソン)

実はこのソーダ水、カロリーが0kcalなんです。

詳しくは、販売元のアサヒ・ソフトドリンク・コーポレーションのサイトでも記載してありますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

ほかのメーカーさんのソーダ水は色々使用しているものもあるみたいなので、ソーダ水もしくは炭酸水=カロリーゼロだとは認識しないでくださいね。

ウィルキンソンのソーダは、カロリー・香料・着色料・甘味料・添加物もゼロなんです。

これはあくまでの参考程度に覚えて頂けたらとおもいます。

私は、回し者でもなんでもございません。

あくまで、純粋にカクテルを作りたいと思うと、なるべくベースのお酒を邪魔しないソーダ水はなんだろうと、探していたら、ウィルキンソンソーダに出会ったということだけです。

話は、少しそれてしまいましたが、「ジンフィズ」のカロリー計算を出してみましょう。

  • ドライジン(タンカレー) 30ml=80kcal
  • フレッシュ・レモン    15ml=22.5kcal
  • ガムシロップ(カリブ社) 10ml=57kcal
  • ソーダ(ウィルキンソン) 90ml=0kcal

合計 約159.5kcalとなります。

結構ありますね。

だいたい、お茶碗1杯(100g)のご飯と同じくらいですね。
3杯飲めば、ご飯おかわり2杯と一緒。

これは飲みすぎ注意です。

が、牛乳と比べてみると、300ml飲むよりカロリーは少し低めで、これが低脂肪牛乳ならだいたい同じくらいのカロリーと。

んん、よくわからないですよね。

カロリーは約159.5kcalですが、白米と比べると糖質や脂質はかなり引くいです。

ですが、何事も程々が大事だと実感してきた私と同じで、飲みすぎにもご注意を!!