1915年、シンガポールのラッフルズ・ホテルのロングバーのバーテンダー「厳崇文/Ngiam Tong Boon/ニャン・トン・ブーン」(彼は、海南島の華人だったので、名前の表記を漢字・英語・カタカナで表記しておきます。読みやすい、覚えやすい読み方・書き方で覚えてくださいね)が考案したトロピカルカクテルのひとつです。
当時、イギリス領だったシンガポールではまだ社交場で女性がお酒を嗜むことに抵抗がある時代でした。
白人の社交場となっていたラッフルズ・ホテル(ロングバー)のバーテンダーだった彼は、「女性が人前でも飲めるようなお酒を」と思い、考案したのがはじまりだと言われています。
シンガポールスリングの良さ
飲み口はフルーティーで口当たりもよく、甘さがあり、飲みやすいカクテルをオーダーするときにはもってこいの1杯です。
「シンガポールスリング」は、マラッカ海峡に沈む夕日をイメージした神秘的なバラ色のカクテルで、一見フルーツ・ジュースのようにも見える女性のために考案された、トロピカル・カクテルだけあって、瞬く間に人気を博した「シンガポールスリング」
なお、イギリスの小説家「サマセット・モーム」は、マラッカ海峡の夕日を見て、世界一美しい夕日。「東洋の神秘」と称えたそうです。
そこまで、美しい神秘的な景色をイメージして作られた「シンガポールスリング」
ロマンチックな夏に飲みたい1杯ですね。
今では、色々なレシピが存在するカクテルですが、本来のレシピを元にして考えてもアルコール度数は約15%くらいです。
今では、レシピも改良されより飲みやすくなったトロピカル・カクテルの1つ。
個人的には、沖縄の恩納村にある「ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート」から見える夕日を眺めながら楽しむ「シンガポールスリング」は別格でした。
ぜひ、素敵な方と、「夏の思い出の1つ」として味わってみてくださいね。
シンガポールスリングの味わい(フレバー)
今では世界中のバーやダイニングバーでも提供されている有名なカクテルの1つ「シンガポールスリング」ですが、実は、このカクテルが考案されたラッフルズ・ホテルのレシピはあまり一般的に親しまれていません。
シンガポールで考案されたのち、イギリスのロンドンにも広まった「シンガポールスリング」は、よりフルーティーで飲みやすいテイストにアレンジされ、その新しいレシピの方が世界中に広まったとされています。
そして、考案者の「ニャン・トン・ブーン」の甥「ロバート・ブーン」が、1970年代よりラッフルズ・ホテルのロングバーの部門責任者として後を引き継ぎ、見た目だけではなくて、テイスト自体も南国を思わせるようなレシピにアレンジした
トロピカルな「シンガポールスリング」が今では一般的なレシピとして世に広まりました。
ジンをベースに数種類のリキュールとパイナップル・ジュースとライム・ジュースなどを混ぜた甘ざっぱりした飲みやすいカクテルです。
現在のオリジナル・レシピでは全部で8種類もの材料を混ぜ合わせて作る複雑なカクテルとなっております。
ラッフルズ・ホテルでオーダーの際は、オリジナルかそれとも違うレシピがいいかと聞かれるので、2種類のレシピを知っているといいかもしれませんね。
ぜひ、日本のバーでや、自ら作る際は飲み比べてみてはいかがですか。
シンガポールスリングの美味しい作り方
用意するもの
「ラッフルズ・ホテルのレシピ」
材料
- ドライジン(ビーフィーター) 30ml
- チェリーブランデー(チェリーヒーリング) 15ml
- パイナップルジュース 120ml
- ライムジュース 15ml
- ベネディクティン 7.5ml
- コアントロー 7.5ml
- グレナデンシロップ 10ml
- アンゴスチュラビターズ 1dash
*1915年に考案されたレシピは、
- ドライジン(ビーフィーター) 45ml
- チェリーブランデー(チェリーヒーリング) 15ml
- レモンジュース 20ml
- シュガー 1tsp
- ソーダ P.P(適量)
今のレシピと比べると、色合いはそこまで変わらないかもしれませんが、フルーティーな感じは今のレシピを知ってしまうと、あまり感じられない様なかんじがしますね。
良かったら、参考程度に覚えておいてください。
手順
- 全ての材料をシェーカーの中に注ぐ。
- バースプーンで一度ステアして、テイストを確認してからシェーカーに氷を入れる。
- ハードシェイクを40回ほどして、パイナップルジュースを泡立てる。
- 氷を入れたゴブレット・グラスに注ぐ。
- パイナップルとレッド・チェリーとストローを2本飾る。
*しっかりとシェイク出来ていないと、パイナップルが泡立ちませんので、しっかりシェイクしてくださいね。
飾り付けは、お好みのフルーツに変えても大丈夫です。
自分なりのトロピカルな飾り付けも素敵だとおもいます。
色々なバリエーションがあった方が、同じ人に提供する際は喜ばれること間違いありません。
飲み方
ストローで飲むとお洒落な感じがしますが、酔いやすいので注意してくださいね。
カップルや意中の相手とストローを1本づつ使用して愛を深め合うような飲み方も町のバーでやるのは少し抵抗があるかもしれませんが、リゾート地では、心も開放的になるのでぜひ恥ずかしがらず実践してみてくださいね。
楽しい思い出になることでしょう!!
飾りで添えられているフルーツは、飲む前に食べても飲みながら食べても、観賞用として見ながら味わってもと、お好きなようにお召し上がりください。
お店などでは紙ナプキンなどがテーブルやカウンターに置いてありますので、食べ終わったら包んでグラスの近くに置いておくとバーテンダーさんやウエイターさんが下げてくれますよ。
シンガポールスリングのアレンジ
甘めなシンガポールスリング
もともと甘さがあるカクテルですので、これ以上甘くするよりかは、さっぱりしたテイストを紹介していきますね。
その際に、一番最初に思いつくのは、「ニャン・トン・ブーン」が考案したレシピです。
ジュースだけではなくて、ソーダで満たすレシピですので、今現在のオリジナル・レシピよりはさっぱりで飲みやすいテイストです。
参考までにレシピを私なりにアレンジしたスタイルを書いておきますね。
- ドライジン(ビーフィーター) 30ml
- チェリーブランデー(チェリーヒーリング) 15ml
- レモンジュース 10ml
- ガムシロップ(カリブ社) 10ml
- ソーダ 90ml
ソーダ以外の材料をシェーカーに入れて氷を入れてハードシェイクする。
氷を入れたタンブラーに注ぎ、ソーダで満たして軽くステアする。
お洒落に作りたい方は、
ドライジン(ビーフィーター)・レモンジュース・ガムシロップ(カリブ社)だけをシェイクして、ソーダで満たして軽くステアした後に、チェリーブランデー(チェリーヒーリング)をグラスの底に沈ませて、2層になる作り方。
バースプーンを使いに静かに注げば、綺麗な2層の色合いになりますよ。
アルコールが苦手な人におすすめなシンガポールスリング
シンガポールスリングが生まれたラッフルズ・ホテルのロングバーでも提供されているノンアルコールの「ヴァージン・シンガポールスリング」がございます。
これなら、アルコールが苦手な方でも同じような雰囲気が味わえるトロピカルな1杯が楽しめますよ。
色合いや見た目は全く一緒ですが、アルコール類を一切使わずに、パイナップルジュースにチェリーシロップを入れたスタイルです。
本場のバーのテーブルにも置かれている殻付きピーナッツを食べながら楽しんでみてはどうでしょうか。
ロングバーでは、殻付きピーナッツは食べ放題なので、食べ過ぎて鼻血が出ないように気を付けてくださいね。
などなど、以上は例です。
シンガポールスリングに合う料理&おつまみ
シンガポール生まれのカクテルですので、和食や洋食と合わせるよりかは、エスニック料理と合わせる方がいいのかなとおもいます。
ただ、甘さもあり飲みやすいカクテルですので、食後に楽しむのもいいかもしれませんね。
が、あえて合わせるとするならば、シンガポール料理で定番の「チキンサテー」なんてどうですか?
鶏肉をオリジナルのタレ(ナンプラーやチリパウダーで味付けした)につけて焼いた串焼き料理でスパイスもかなり効いている1品。
カレーのような味付けだと、甘さがあるカクテルでも相性がいいとおもいます。
そのほかには、シンガポールを代表する「チリクラブ」もいいんじゃないでしょうか。
この辛さが特徴のカニ料理。
手で食べる料理なので、少し下品かもしれませんが、汚れた手を使わずにストローで飲みながら食べてみるのもいいかもとおもいます。
味が分からない方は、エビチリのカニバージョンだと思ってくださいね。
おつまみは、もちろん「殻付きピーナッツ」がおすすめですが、少し酸味も効いたマンゴーなどのドライフルーツなども合いますよ。
ぜひ、料理とシンガポールスリングでシンガポールを堪能してみてください。
シンガポールスリングの歴史(逸話)
1915年、シンガポールのラッフルズ・ホテルのロングバーで生まれたカクテルです。
ここで働いていた「ニャン・トン・ブーン」氏によって考案されたカクテルが、なぜ有名になったのか?
もちろん、ロングバーに通っていた方々には浸透したとしても、ここまで世界的に有名になったのかご存知でしょうか?
当時はイギリス領だったということもあり、多くのイギリス人も滞在しておりました。
その中でも、このラッフルズ・ホテルをこよなく愛した小説家であり劇作家の男性がいました。
彼の名は、
「サマセット・モーム」氏です。
彼はラッフルズ・ホテルから見える夕日が大変お気に入りだったみたいで、夕日に照らされたホテルを見てこう言いました。
「ラッフルズ、その名は東洋の神秘に彩られている」と
ここまで言わしめたラッフルズ・ホテルが大のお気に入りとなり、長期滞在をしていたせいなのか、今でも「サマセット・モーム・スイート」と彼の名を冠した部屋が設けられております。
そんな彼の短編小説「手紙」
この小説に登場したことにより一躍有名になった「シンガポールスリング」
今では、レシピも甥の「ロバート・ブーン」氏がアレンジしてよりフルーティーなテイストに仕上がり、ますます女性の間でも有名なカクテルとして愛されています。
ですが、ここからは少し余談になりますが、「サマセット・モーム」彼はイギリスの有名な作家で、色々な国に旅行に行き執筆活動をしてきたと言われていますが、こんな説もありました。
実は彼がシンガポールや色々な国に訪れていたのは、秘密諜報活動の一環だったともいわれている説がございます。
ちょうど、当時は第一次世界大戦が進行していた当時、日本の海外進出に対する欧米ABCD包囲網(アメリカ・イギリス・中国・オランダの4か国で日本のアジア進出を食い止めようとする作戦)が行われていました。
ロシアではロシア革命が、
そんな中、サマセット・モームは世界各地に潜入する任務を帯びていたらしいです。
まるで映画の「007」みたいだねと思うかもしれませんが、実は、この「007」の作家、「イアン・フレミング」がシリーズを書き始めたときにモデルにしたのが、この「サマセット・モーム」だったと言われています。
彼が1915年にシンガポールスリングを愛飲していたかは謎ですが、イギリス人ということもあり、マティーニは愛飲していたみたいです。
ちなみに彼の名がついたマティーニがロングバーには今でもあります。
そう考えると、本当に彼がジェームス・ボンドのモデルだったのかもしれませんね。
シンガポールスリングの注意点
今回は、オリジナル・レシピを元にカロリー計算をしていこうと思います。
それでは、使用する材料のおさらいです。
- ドライジン(ビーフィーター) 30ml
- チェリーブランデー(チェリーヒーリング) 15ml
- パイナップルジュース 120ml
- ライムジュース 15ml
- ベネディクティン 7.5ml
- コアントロー 7.5ml
- グレナデンシロップ 10ml
- アンゴスチュラビターズ 1dash
まずは、ドライジンからですね。
30mlをグラム計算しますと、ジンの成分は大麦、ライ麦、じゃがいもなどの穀物・イモ類を使用した蒸留酒なので、
30ml=約28gです。
約28gのカロリーは約80kcalです。
次は、チェリーブランデー(チェリーヒーリング)
このリキュールは、熟成後にシュガーシロップで甘味をつけているので、少しカロリーが高そうですね。
100ml=約120gです。
今回は、15mlなので約30gです。
約30gのカロリーは90kcalです。
次は、パイナップル・ジュース
今回は、家庭でも作りやすいように100%ジュースを使用した際の計算で
100ml=100g
ですので、
今回は120mlなので、120gです。
120gのカロリーは、49kcalとなります。
次は、ライムジュース。
スーパーで売られているライムは、1個約84gです。
1個から取れる果汁は約30mlなので、今回使用する分は半分ですね。
カロリーは1個、約8kcalなので、今回はその半分の4kcalとなります。
次はベネディクティン
これは、ブランデーをべーすにしたハーブリキュールです。
結構、カロリーがありそうですね。
100mlで104gです。
今回は、7.5mlの使用なので、
7.5ml=7.8g
7.8g=24kcal
です。
次はコアントロー
オレンジの皮やわたの部分を使用してつくられているホワイトキュラソー
100ml=105gです。
今回は、7.5ml使用なので、
7.5ml=約7.9g
約7.9g=約25kcal
です。
次は、グレナデンシロップ
今回は、10mlしようですので、計量スプーンですとだいたい大さじ1くらいです。
大さじ1=21g
21g=64kcal
となります。
最後に、アンゴスチュラ・ビターズ
これは、ハーブや香辛料などをお酒に付け込んだ苦味酒のことです。
昔は、胃薬として使用されていたみたいで、バーテンダーも胃が痛いときや二日酔いの時はよくお酒に混ぜて飲んだりしています。
今回使用する量は、1dash(一振り)なので1mlもあるかどうかなので、あえてカロリーとしては計算せずにしたいとおもいます。
たぶん1kcalにもならないとおもいますので。
それでは、全て計算して合計をだしてみたいとおもいます。
- ドライジン(ビーフィーター) 30ml 約80kcal
- チェリーブランデー(チェリーヒーリング) 15ml 約90kcal
- パイナップルジュース 120ml 約49kcal
- ライムジュース 15ml 約4kcal
- ベネディクティン 7.5ml 約24kcal
- コアントロー 7.5ml 約25kcal
- グレナデンシロップ 10ml 約64kcal
- アンゴスチュラビターズ 1dash (今回は計測なし)
合計いたしますと、約336kcalとなります。
ご飯大盛り1杯(200g)とだいたい同じくらいですね。
ちなみにマクドナルドのハンバーガーは1個251kcalだそうです。
このカロリーを消費するには、このぐらいの運動が必要です。
参考までにみてください。
*体重が40kgの人の場合
30分の通勤通学で約84kcalの消費だとしたら、
60分で約168kcal 120分で約336kcal
*体重が50kgの人の場合
30分で約105kcalだとしたら、
60分で約168kcal 120分で420kcal
*体重が60kgの人の場合
30分で約126kcalだとしたら、
60分で約252kcal 120分で504kcal
*体重が70kgの人の場合
30分で約147kcalだとしたら、
60分で約294kcal 120分で588kcal
*体重が80kgの人の場合
30分で約168kcalだとしたら、
60分で約336kcal 120分で672kcal
となります。
よかったら、参考にしてみてください。
飲んでるそばから、カロリーを気にしてしまうと楽しめないかもしれませんが、飲みすぎて体調を崩さないように気を付けてくださいね。