マティーニ Martini

ドライジンとベルモットだけを混ぜ合わせて、オリーブを添えたシンプルなカクテル。

そんなマティーニ。
カクテルを語るうえでは欠かせないカクテルの王様。

このカクテルは、色々な由来の諸説があります。

その中でも有名なのは、1910年代ころにニューヨークのニッカボッカー・ホテルにいた「マルティーニ」という名のバーテンダーが考案したという説が一番有力とされています。

そのほかには、カクテルで使用するベルモットが、マルティニ社のものだから、ぴりっとしたテイストがイギリス陸軍のライフル銃「マティーニ&ヘンリー」を撃つ際の衝撃のようだとか、そのほかにも色々な諸説がございます。

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マティーニの良さ

マティーニといえば、カクテルを飲んだことがない方でも名前だけは聞いたことがある。
という方は、多いんじゃないでしょうか?

映画スキの方なら、「007」の主人公、ジェームス・ボンドの有名なセリフの一コマ

「Vodka Martini Shaken not stirred」
「ウォッカマティーニを。ステアせずにシェイクで」

とセリフを決める名シーン!!

本来は、ジンで作るマティーニをウォッカで、なおかつシェイクして出してくれ、というニュアンスの台詞が受け、流行となり、「007」シリーズで定番になりました。

また、小説「カジノ・ロワイヤル」では、ボンドが、ゴードンジン・ウォッカ・キナリレー1/2をよくシェイクしてシャンパングラスに注ぎ、レモンの皮を入れてくれというオーダーをしました。

2006年に同名の映画が公開され、より世界中で有名になり、ボンドガール(映画に登場する女性の役)の名前を採り

「ヴェスパー」
あるいは、
「ヴェスパー・マティーニ」

と呼ばれファンの間でこのレシピが有名になりすぎて、大量生産されていなかったフランス産のヴェルモット「キナ・リレー」が一時生産中止になるまで、世界中で親しまれたカクテルです。

今では、「リレ・ブラン」という名前で販売されておりますが、やはり味が違うので本来の「ヴェスパー・マティーニ」を再現することは難しくなりました。

もし、行きつけのバーや、ふらっと入ったお店で、「キナ・リレー」を見つけたら、ぜひオーダーしてみてください。

なかなか飲めないカクテルなので、「007」好きの人に自慢できること間違いなしです。

小説好きの方なら、いろんな作品でたびたびカクテルを登場させている「アーネスト・ヘミングウェイ」の第二次世界大戦を舞台にした小説

「河を渡って木立の中へ」の中で、主人公がバーテンダーにマティーニを注文する際、「モンゴメリー将軍で」と頼みます。

これは15:1のジンがより多いドライマティーニの事で、アフリカ戦線の連合軍総司令官モンゴメリー将軍が、ドイツとの戦力比が、
15対1
にならないと決して攻撃を開始しなかったことと引っ掛けている言葉遊び的なセリフです。

「文学好きな人には酒好きも多い」という今までの風潮にもあるように、文学が好きな女性とバーに行った際はこんなエピソードを織り交ぜながら会話を楽しむ夜もいいと私はおもいます。

マティーニの味わい(フレバー)

マティーニといえば、カクテルの中では、色々なバリエーションをもつカクテルの1つです。

1979年に出版された「ザ・パーフェクト・マティーニ・ブック」では、なんと268種類のレシピが紹介されています。

なので、ここでは王道レシピをもとに紹介していきたいとおもいます。

使われている材料は、ドライジンヴェルモットだけです。

もちろん強いです。

が、しかし、
材料はこれだけなのに作り手によって本当に味が違います。

ジンやベルモットを変えればもちろん味も変わりますが…

なんといっても一番、味を左右するのは、実は、
「氷」
なんです。

えっ、と思う方も多いと思います。

しかも、カクテルを作るうえで、氷が溶けすぎたら水っぽくなって、おいしくないんじゃないかとおもいますよね。

ここから書くことは企業秘密なので、内密にお願いいたします。

氷の中に含まれている空気をもカクテルの味の隠し味にしているんです。

ん?
どういうこと?
と今おもった人もけっこう多いんじゃないでしょうか?

液体に空気をより多く含ませることで、口当たりがだいぶ柔らかく感じます。
もちろん氷も溶けて、そのままストレートで飲むよりかは優しくなります。

色んなバーテンダーさんがいらっしゃいますから、その人それぞれのマティーニが存在いたしますが、バーに行ってカウンターに座る際は、ぜひチェックして飲むと面白いかもしれませんね。

「マティーニ」はジンの味がしっかりと感じつつ、ヴェルモットのハーブの香りがほんのりさわやかな強いカクテルなので、くれぐれも飲みすぎにはご注意を!!

マティーニの美味しい作り方

用意するもの

  • ドライジン(タンカレージン)3/4
  • ドライ・ヴェルモット(ノイリー社)1/4

手順

  1. ミキシング・グラスに氷を目一杯入れて、グラスがしっかりと冷えるまでステアする。
  2. 冷やした、ミキシング・グラスの中の余分に溶けた水を捨てる。
  3. ミキシング・グラスの中に、ドライジン3/4を注ぎ、100回ほどステアしてジンに空気を含ませる。
  4. ドライ・ヴェルモット1/4を注ぎ、ステアして混ぜ合わせる。
  5. 冷えたカクテルグラスに注ぎ、レモンピールを一振りする。
  6. カクテルピンにさしたオリーブをカクテルグラスの中に沈ませる。

*オリーブは、お好みで別添えで出してもかまわない。
お酒(ジン)が好きな方なら、一度ジンでオリーブをリンスしてから出してもいいですよ。

王道はレモンピールですが、ドライジンの銘柄を変える場合は、そのジンの特徴に合わせて他のフルーツピールを使用するとおもしろいです。

飲み方

ミキシング・グラスの中で氷と一緒に冷やして混ぜ合わせたかくてるなので、なるべく早く飲んだ方がきりっとして美味しく召し上がれます。

添えてあるオリーブですが、お好みで使用してください。

飲む前に食べてもいいし、
飲みながらかじってもいいですし、
カクテルに入れて、飲み干した後に食べてもいいですし、
オリーブの香りや油分が気になれば、外して飲んでも大丈夫です。

バーに行って酒を残すと、バーテンダーさんが不快に思うことがあってもオリーブを残して不快になることはありません。

自分なりの飲み方を見つけて、楽しんでください。

マティーニのアレンジ

甘めなマティーニ

一番代表的なのが、ヴェルモットをドライからスウィートに変えた「スウィート・マティーニ」です。

ヴェルモットにも、色々な種類があるので色々ためしてみるといいですよ。

お店で、「マティーニ」を注文する際に、ヴェルモットはなにがあるか確認してから注文すると、自分好みの甘めなマティーニに出会えますよ。

私個人的には、「カルパノ社」のヴェルモットは、ドライでも比較的、甘さが強いとおもいます。

優しい感じや、甘い感じがいいとおっしゃるお客様には、だいたい「カルパノ社」のドライベルモットでお作りしています。

アルコールが苦手な人におすすめなマティーニ

アルコールが苦手な方には、正直おすすめできないカクテルです。

1940年からイギリス首相を務めた「ウィンストン・チャーチル」は、辛口の「マティーニ」を大変好まれたみたいで、

ヴェルモットを口に含んだ執事に息を吹きかけさせてジンをストレートで飲んだり、ヴェルモットの瓶を横目で眺めながらジンを飲んだりと、究極の「エクストラ・ドライ・マティーニ」を楽しんでおられたみたいです。

このように、酒好き・ジン好きな方が好んで飲んでこられたカクテルなので、ジンの量を減らして作ると「マティーニ」じゃないのかと私もおもいます。

そんなこと言わないで!!
味わってみたいの!!

わかりました。

そのかわり、ゆっくりと飲んでくださいね。

なんせ、アルコールが苦手なんですから。

マティーニをロックスタイルでちびちび飲んでみてください。

かもしくは、
少し甘さを加えたパリの人を連想して作られたマティーニがあります。

「パリジャン」

です。

これは通常の「マティーニ」にカシスリキュールが入ったスタイルです。

いくぶん、通常のマティーニにより甘さがありますので、こちらをロックスタイルでちびちび飲むのもよいのかなと。

すいません、
これくらいしか提案できなくて…

なんせ「マティーニ」はカクテルの王様ですから。

などなど、以上は例です。

マティーニに合う料理&おつまみ

アルコールが強いカクテルですので、料理と合わせるのは、よっぽどお酒が強い方以外はなさそうな感じがします。

西洋人は、胃を活性化させるために、食前酒として「ジン」をストレートで飲む人も多いみたいです。

もし、マティーニと料理を合わせるのであれば、前菜は、スモークサーモン生ハムと一緒にオリーブなどと合わせて、

メイン料理は、ハーブをきかせた魚介のグリルがおすすめです。

そして、イタリアンなどを食べている場合は、パスタは控えてピザがいいです。

いろんなチーズが入った「クワトロ・フォルマッジョ」をつまみに「マティーニ」を楽しんでください。

おつまみは、ドライフルーツやスモークナッツなどがおすすめです。

もちろん、「マティーニ」にはオリーブが添えられて出てくるので、オリーブを追加でつまみにしてもいいですよ。

個人的には、柚子胡椒マヨネーズでディップする野菜スティックなんかも好きです。

マティーニの歴史(逸話)

マティーニはもともと、「ジンアンドイット」というカクテルの原型です。

英語表記だと
「Gin&It」
です。

イットとは、イタリア(Italy)のことを指しています。

昔のレシピは、
ジン:ヴェルモット=1:2

と今のレシピより、ヴェルモットの割合が多く、今のレシピより甘さを感じて飲みやすかったので、食前酒(アペリティフ)として飲まれていました。

時が進むにつれて、使用されるヴェルモットもよりドライなものに変わり、ジンの量も増えて、一時はよりドライな「マティーニ」が流行りはしたものの、今のレシピに落ち着きました。

ドライな「マティーニ」が大の好きだった、イギリスの元首相「ウィンストン・チャーチル」

酒好きで有名な作家
「アーネスト・ヘミングウェイ」

行動派な彼は自ら、1936年~1939年に起こったスペイン内戦に人民戦線政府軍として積極的に関わったりしていました。

その時には、ジンとヴェルモットのボトルをぶら下げていたとまで言われています。

そしてなんといっても、この小説や映画のおかげで世界中の人が知るきっかけになった今も続く名作

イギリスの作家「イアン・フレミング」のスパイ小説
「007」の「カジノ・ロワイヤル」

小説は1953年、映画は2006年、
これで、一躍有名になりましたね。

特に映画が公開されて、この作品の中で登場するレシピで使用されるヴェルモットは、注文が入りすぎて生産中止にまでなったんですから。

さすがカクテルの「王様」といわれるだけありますね。

マティーニの注意点

まずは、マティーニのカロリーからご説明させていただきます。

ジンやヴェルモットにも色々な種類があります。

ジンでも甘味を加えたものや果実を加えたものなどございますが、今回は、ドライジンで説明させていただきます。

ヴェルモットも、もちろん色んな種類がございます。

甘さが強いもの
フルーツを加えたもの
などございますが、

今回は、ドライヴェルモットで説明させていただきます。

もう一度、レシピのおさらいです。

「マティーニ」

ドライジン(タンカレージン) 3/4 45ml
ドライヴェルモット(ノイリー社)1/4 15ml

ドライジンのカロリーは、
94g(100ml)で267kcalです。

45mlですと、
約120kcal
になります。

ドライヴェルモットのカロリーは
100g(100ml)で117kcalです。

15mlですと、約18kcalです。

「マティーニ」1杯に使われるお酒のカロリーは、

138kcal

です。

これは、350ml缶の缶ビール1本分と、だいたい一緒くらいです。

ビールが意外と低いことに驚きですね。

カロリーと糖質は違いますので、糖質は缶ビールの方が高いですが…

だいたいの大まかな計算ですが(人によって歩幅やスピードも違うので)
散歩なら、約45分。
ジョギングなら、約19分。
水泳(クロール)なら、約17分。

結構、大変ですね。

のん兵衛からしてみれば、
そんなこと気にしながら飲みたくない
という方も多いとはおもいますので、1つの目安として参考にしてください。

が、
糖質はほとんどないので、ご安心を。

「マティーニ」はジンがほとんどのカクテルですので。ジンは蒸留酒なので、糖質はありません。

だがしかし、
だったら、飲みすぎてもいいことはないですよ。

高いアルコールの摂取は、肝機能が低下して、太りやすい体質になってしまいます。

それと、ついつい飲みすぎてしまうと、二日酔いがツライですから。

何事もほどほどが一番です。